《僕と新日本プロレスと》新日本プロレスのブログ

主に80年代、90年代の新日本プロレスのアングル、名言を書いたブログです。

新日3大暴動事件《海賊男》

1987年3月26日大阪城ホール INOKI闘魂LIVE PARTⅡ
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1987年3月26日に大阪城ホールで行われた猪木対マサ斎藤の試合に、謎のマスクマン「海賊男」が突如乱入。マサ斎藤と自身を手錠で繋ぎ、控室まで連行してしまうという事件が起きた。その後、マサ斎藤は試合に復帰したものの手錠で猪木とレフェリーを殴打し、反則負けになるという結果に。
この結果に納得できなかった観客が暴動を起こした。

1987年3月26日大阪城ホールでの「INOKI闘魂LIVE PART2」での猪木対マサ斎藤戦の時間無制限一本勝負は、長州率いるジャパンプロレス軍団の2年ぶりのUターンで実現した試合だったが、10分過ぎに海賊男が乱入してマサ斎藤に手錠をかけるという不可解な行動により25分34秒、マサ斎藤の反則負けとなった。

超満員1万3850人のファンはこの結末に激怒する。試合後もファン約3000人が会場に居残り、「金返せ!」「バカヤロー!」の激しい罵倒のコールの後、椅子を放り投げる、紙屑に火をつけるなど暴動を引き起こす修羅場と化した。


このときの海賊男が1981年にメキシコから新日本プロレスに留学し、新日本の所属となったブラックキャットことクロネコであったのは、高橋氏の著書「流血の魔術最強の演技〜すべてのプロレスはショーである〜」でも明らかとなっている。

同時に、アメリカのフロリダ州で海賊祭りのイベントを見た猪木が、試合のアングルに導入を決意し、自らもフロリダで武藤の試合に乱入、その後、海賊男は日本での試合でも二度乱入したが、こちらの正体は新日本の若手レスラーであったことも明かしている。

「橋本は海賊のコスチュームが入らないから、一度も乱入はしていませんが、コスチュームとシューズのサイズが合う蝶野ら若手に『よし、今日はお前が行け』と乱入させていましたね。海賊男のアングルは選手内で周知されていましたから、セコンド陣が海賊男の乱入を止めるようなことも当然しません」

海賊男乱入の理由はファンに明確に伝わらず、ファンの不評を買ったが、猪木はこのアングルになぜか固執した。猪木対マサ斎藤の記念イベントでの大一番でも挙行されることになり、高橋氏は猪木の意向に沿うアングルをつくる。クロネコ扮する海賊男はマサ斎藤の味方。マサ斎藤に加勢するため、まず猪木に手錠をかける。続いて片方の手錠をロープにかけ、猪木の身動きを完全に止めてしまう。そして、マサ斎藤と一緒に猪木を攻撃するという段取りだった。
この日の海賊男がなぜクロネコだったのか?これは気になるところだ。

クロネコの海賊男は、あの日だけです。今日はクロネコでなければ、という明確な理由があったわけではなく、「ネコちゃん、今日、行ってよ」という感覚でした。彼もプロレスラーですから、アングルを十分に理解し、失敗するなんて私も猪木さんも斎藤さんも想像していなかったのです。私が、斎藤さんとクロネコにアングルを伝えました。日本語と片言のスペイン語で。当時のクロネコは日本人のお嫁さんをもらい、日常的な日本語は一通りできていても、少し複雑な話になると理解はまだできていなかった。「コンプレンデ?(分かったか?)」と念押ししたら、「シー(了解)」と言ってくれましたが…」

さて、試合に乱入した海賊男は、マサ斎藤の右手に手錠をかけ自らの右手にも手錠をかけた。これに猪木は唖然。マサ斎藤は「バカ、俺じゃない、違うぞ」と言いたげな顔を見せるが、海賊男をブチのめすわけにもいかない。海賊男に繋がれたマサ斎藤は一旦、控室に引き上げる。猪木も、観客も状況がのみ込めず、場内は騒然。手錠の鎖を引きちぎった斎藤は、右手に手錠の輪をつけたまま、リングに戻ってきた。

「このとき、斎藤さんは私に「俺を蹴れ」と耳打ちしました。私は、一瞬で理解しました。アングルの軌道修正です。手錠を凶器に猪木さんの額をメッタ打ちにし、流血させる斎藤さんに私は注意を与え、それでも手発攻撃を止めない斎藤さんを私は蹴った。蹴りに怒った斎藤さんが、私をラリアットで吹っ飛ばして、私は斎藤さんの反則負けを取りました。アドリブでの対処も、結果として暴動が起こったので失敗でしたね」

言葉の壁が悲惨な結末を招いた。
これが真相である。


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当時の雑誌の「大阪暴動の元凶は新日の不手際?」と題した顛末記には、次のような一節が書かれた。

《海賊男はセコンドに制止されることもなくフェンス内に入り、すかさずリング上へ…。この行動ひとつ取っても実に不可解である。なぜセコンドは乱入者である海賊男を止めに入らなかったのか?海賊男の正体はレスラーであることは確実!ということはセコンド陣は海賊男の乱入を暗黙の了解で認めていたのか?リング上の海賊男にしてもそうである。持って来た手錠を斎藤にかけて控室に連行するという行動は、マサ斎藤アメリカでケン・パテラと不祥事を起こした事件の再現をファンに連想させよう!と仕組んだとしか考えられない。》

アメリカで起こした不祥事の再現と推測した記者の考えはなるほどと思った笑

この日の海賊男が日本語を理解したレスラーで、予定通りのアングル行われていたとしたら暴動は避けられていたか?

みなさんは、どうだったと思いますか?